頚・肩・上肢の主な疾患

頚・肩・上肢の痛みのイメージ写真
  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 頸椎症
  • 肩関節周囲炎(五十肩)
  • 肩腱板損傷
  • テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
  • 外傷性頚部症候群(むち打ち) など

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアは、首の部分にある頚椎の椎間板が突出している状態です。
本来の位置からずれているため、脊髄や神経根が圧迫を受けてしまい、様々な辛い症状が出現します。
片側の腕が動かしにくくなる、肩のしびれや放散痛、首の関節可動域が狭くなる、肩や頸部の痛みが続いているといったときは、頚椎椎間板ヘルニアの可能性があります。

このような症状がみられる場合、X線撮影、CTなどの画像検査によって診断をつけていきます。
治療においては、まず痛みを抑えるようにします。首の痛みを軽くするため、頸椎カラーなどの装具を使って患部を固定し、鎮痛消炎剤などを処方いたします。
患者様の状態によっては、神経ブロック注射で痛みを緩和させることもあります。

こうした保存療法だけでは病状が改善しないときは、手術療法を行います。
なお、中長期的に痛みを軽減させるには、ストレッチや頚椎牽引療法、理学療法によるリハビリテーションなども効果があります。
当院では、様々な医療機器を活用して診断・治療し、早期の社会復帰をサポートいたします。
長年培ってきた整形外科専門医としての経験をふまえ、丁寧に診療していきますので、お気軽にご受診ください。

頸椎症

頸椎症は、首の骨の変形や椎間板の変性によって引き起こされる疾患です。
主に加齢や外傷が原因で起こるため、多くの場合40歳頃から症状が出てきます。年を重ねるほどに変化の程度が大きくなり、中高年者では頸椎症に悩まされている方が非常に多くいらっしゃいます。

主な症状は、首の痛み、首のこり、手足のしびれ、歩行時のふらつきです。
治療に関していうと、通常は消炎鎮痛剤などで痛みなどの症状を抑え、しばらく様子を見ます。
しかし、強い痛みで日常生活に支障をきたしているときは手術的療法を検討することもあります。

肩関節周囲炎(五十肩)

肩関節周囲炎は、加齢などによって肩関節周囲に炎症が起きてしまい、肩の痛みや肩関節の可動域制限に悩まされる疾患です。
50代前後で発症することが多いため、一般的には「五十肩」と呼ばれますが、最近は40代で発症する方もいらっしゃいます(四十肩)。

肩関節周囲炎になると、運動時の痛みに悩まされます。
肩関節を思い通りに動かせなくなるため、衣服の着脱がつらくなったり、仕事や家事に影響が出ることもあります。
ひどくなると、安静時でも痛みを伴います。
夜中に肩がズキズキ痛んでしまい、睡眠不足の原因ともなります。
そのようなときは、お早めに当院をご受診ください。
消炎鎮痛剤などの薬物療法で痛みを和らげるとともに、リハビリテーションを行って症状を改善させていきます。

肩腱板損傷

腱板は、肩関節の奥の方にある構造体であり、肩関節が上手く機能するための重要な役割を担っています。
肩腱板損傷は、この腱性組織に損傷が起きた状態です。

主な原因は、加齢や肩の酷使による変性ですが、打撲や脱臼などの外傷によって起こることもあります。
重い荷物を肩に担いでいるときに強い負荷がかかってしまい、腱板を損傷してしまうケースもあります。

よくみられる症状は、肩の運動障害、運動時の痛みです。
夜間に痛みが強まると、不眠の原因ともなります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

上腕骨外側上顆炎は、手首や腕をよく使う仕事を行う方に発症しやすい疾患であり、一般的には「テニス肘」と呼ばれています。
もちろんテニスプレイヤーのみが発症するわけではないのですが、テニスの際にバックハンドストロークでラリーを続けるという動作が肘の外側(上腕骨外側上顆)に強い負担をかけるため、中高年のテニスプレイヤーにはよくみられます。
患者様の傾向としては、女性の方が多いと言われています。

主な症状は、腕の外側から前腕の部分の痛みです。安静時には特段の痛みを覚えないことが多いのですが、テニスなどの運動時には症状が強まります。
テニスラケットを使用した運動だけでなく、タオルを絞る、手のひらを下にした状態での腕の回転などでも痛みが出ます。

初期の段階ならば、しばらく運動を控えることで治癒します。
しかし、ひどくなると症状が慢性化するおそれもあるので、まずは当院を受診し、治療の必要性を判断するようにしてください。

外傷性頚部症候群(むち打ち)

外傷性頚部症候群は、頸椎の急激な過伸展と過屈曲によって起こる疾患です。
自動車の追突・衝突・急停車時、スポーツなどでの不自然な外力によって首がむちのようにしなることで発症するので、一般的には「むち打ち」と呼ばれています。

なお、外傷性頚部症候群のなかにはいくつものタイプがあるのですが、その大部分は頸椎捻挫です。
追突事故などの後で首・背中・後頭部・肩部など広い範囲に痛みや違和感が生じます。

治療においては、まず消炎鎮痛剤などで痛みを和らげます。
その後、患者様の症状に合わせて首の牽引療法、温熱療法、電気療法などを行います。